動脈硬化の早期発見法!狭心症や心筋梗塞、脳梗塞、脚が痛む末梢動脈疾患や大動脈りゅうなど命に関わる動脈硬化
動脈硬化は血管の壁の中にコレステロールがたまって血管が詰まったり狭くなったりする危険な病気で、命を脅かすさまざまな病気を引き起こします。
冠動脈で動脈硬化が起これば狭心症や心筋梗塞、そして脳の血管で動脈硬化が起これば脳梗塞になります。また歩行時に脚が痛くなる末梢動脈疾患や、胸部や腹部の大動脈が破裂することがある大動脈りゅうも動脈硬化が原因です。
動脈硬化は自覚症状がないまま進行しますので、で頸(けい)動脈エコー、CT、MRI、冠動脈造影などの検査で早期発見することが重要です。
動脈硬化の状態とは?
血管を水道管に例えると、動脈硬化は水道管の中の壁が錆びついて水垢が溜まってきている状態です。血液は正常に流れていますので自覚症状がなく、その詰まりになかなか気付きませんが、先々、血管が詰まるリスクが知らない間に高まっている状態です。
動脈硬化の原因は年齢ではない
年齢を重ねると動脈硬化になりやすいと思っている方も多いと思います。では、なぜ動脈硬化が起きてしまうかといえば、メタボリックシンドローム・糖尿病・高血圧など、生活習慣の乱れにより血管が蝕まれてしまうからです。
このような生活習慣病と呼ばれる疾患の患者さんの多くは40〜50代あたりで、動脈硬化がでてきてしまいます。ですが生活習慣が大きく乱れているような場合、20〜30代といった若い方でも動脈硬化が起きることもありますので、動脈硬化の原因は年齢ではありません。
動脈硬化が起きると生命に危険
動脈硬化を起こしていると、その程度が大きければ心筋梗塞のリスクが増えます。仮に動脈硬化を起こしていない場合、向う10年間の心筋梗塞を起こすリスクは1%未満といわれています。
今まで健康だった方が突然、心筋梗塞で倒れるという話を聞くことがありますが、このような方は自覚症状がなかっただけで、動脈硬化が発生している方がほとんどなのです。
動脈硬化は心筋梗塞だけでなく、成人病と呼ばれる色んな疾病に関係し生命に関わる病気ですので、早期発見・早期対処が必要です。
動脈硬化が懸念される方は一年おきの検査を
動脈硬化の恐れがある方は、年に一度の検査をが勧めです。
造影剤を使用しないMDCT検査を行えば動脈硬化はスコアとして数値でみることができます。例えば初めての検査の結果、動脈硬化のスコアが20だった場合、1年後の検査の数値がそれよりも高ければ、現在の治療は不十分であるということになり、逆に数値が安定していれば効果的な治療ができているということになります。
一度できた血管の石灰化はなかなか減らすことができないので、数値が下がるということはあまりありませんが、安定した数値を保ちうまく付き合っていくことはできます。ですから年に1度検査を受けて早期対処していきましょう。
また検査の種類も複数ありますので下記にで説明します。
頸動脈エコー検査
頸動脈(けいどうみゃく)は、大動脈から頭部へ血液を送る血管のことです。首の部分の頸動脈は脳へ血液を送る「内頸動脈」と、顔の方へ血液を送る「外頸動脈」とあり、それらが分かれ道となる部分を『頸動脈分岐部』といい、「動脈硬化」になりやすい部位と言われています。
頸動脈部分のエコー検査「頸動脈エコー」では動脈硬化が原因となる心筋梗塞(しんきんこうそく)や脳梗塞(のうこうそく)、大動脈解離(だいどうみゃくかいり)などの命にかかわる病気が発症する危険度を推測することができます。
MDCT検査
MDCTとは、複数のX線照射装置を備えた高性能なCTです。MDCTによる冠動脈の撮影には大きく分けると2つの方法があります。
・造影剤を使用しない撮影方法
・造影剤を使用する撮影方法
現在、最も注目され活用されているのが、造影剤を使用せずに息を止めて撮影する方法です。
造影剤を使用しないMDCTによる冠動脈の検査は、狭窄に関する情報がわかるほか、動脈硬化の有無や位置、状態についても調べることができます。
造影剤を使用した場合でも狭窄の有無や位置はわかりますが、動脈硬化についてはわかりません。せっかく検査を行うのであれば、より情報量が多く手に入る造影剤を使用しないMDCT検査のほうが有用である場合が多いのです。
また造影剤を使用したMDCT検査の場合、造影剤の排出は全て腎臓を介して行われるため、腎臓の機能低下がみられる患者さんには造影剤を使用した検査は行えません。
さらに近年、原子力発電所の事故などを受け、メディアでも「シーベルト」という放射線量を示す数値をよく耳にするようになりました。CTもX線を用いますので、少なからず被ばくしますが、造影剤を使用しない撮影の場合、その線量をかなり抑えることができます。
動脈硬化の治療は、食事や運動など生活習慣の改善が先決
動脈硬化の治療の基本は薬や手術ではなく、生活習慣の改善です。具体的には食生活・運動の改善、肥満体型の方はダイエットなどです。
これらを行った上で、必要であれば病院で処方してもらった薬を使用しますが、薬は補助的な役割であるということを認識する必要があります。